スタートアップの成長ステージは主に、シードステージ、アーリーステージ、ミドルステージ、レイターステージの4つに分けられます。
それぞれ、企業の成長段階に合わせて区分されており、経営者は自社がどのステージにいるかに応じて適切な施策を打っていくことが重要です。
スタートアップの各ステージにおける特徴
ここでは、各ステージの概要を紹介します。
シードステージ
シードステージにおけるシードは言葉の通り、種(Seed)を意味しており、起業の準備段階や構想段階を指します。
この段階では、具体的なサービスや商品は決定しておらず、漠然としたアイデアがある程度です。
シードステージで重要となるのは、創業メンバーを集めることと事業計画を固めるための市場調査です。
創業メンバーはおよそ3人〜5人程度が目安ですが、この段階ではまだ売上がほとんどないため、人件費を考慮してパートタイムや業務委託などの雇用形態で従業員を揃えるとよいでしょう。
アーリーステージ
アーリーステージとは、シードステージを終えた直後の段階であり、事業の発展途上を指します。
アーリーステージでは事業は開始していますが、軌道に乗るまでは時間がかかるため、赤字が続くことも珍しくありません。
事業を存続させるためには、設備投資や運営していくための資金、人件費などのコストを支払う必要があり、場合によっては資金繰りに悩まされる可能性があります。
ミドルステージ
ミドルステージとは、事業が安定・拡大しはじめている段階であり、安定的な売上を計上している状態を指します。
この段階では、売上の急拡大に差し掛かっている状態であるため、市場での認知や社会的な信用が徐々に得られるようになっているはずです。
しかし、事業が拡大するということは、運営していくための人員や設備が必要になるため、その分の支出が増えることになります。
急激な事業拡大は組織のバランスを崩すことになりかねないため、安定した組織を維持するための人事部や広報員などの人材確保が大切です。
レイターステージ
レイターステージはスタートアップの成長ステージの最終段階であり、事業が安定化し、株式上場もしくは事業売却を検討している状態を指します。
従業員数が50人〜100人、売上高30億円以上などのベンチャー企業がレイターステージに該当します。
この段階では、主要な事業の安定化が実現できており、新たな事業や拠点の拡大に着手する場合が多いです。
新たな取り組みを実施する場合は多くの資金が必要です。しかし、この段階では市場での認知度や社会的信用が高い傾向にあるため、資金調達はこれまでのステージに比べてハードルは低いといえるでしょう。
成長ステージ別の採用傾向
スタートアップは、成長ステージによって採用ポジションや求める人材像が異なります。各ステージの採用ニーズの傾向をご紹介します。
シードステージ
資金面に余裕がないことが多く採用コストをかけられないため、友人・知人を通じた採用が主流です。シードステージでは、部門を立ち上げるにあたり、各専門分野のCxOや部門長クラスを求めます。専門スキルはもちろんのこと、「理念」への共感や創業者をはじめとする他の経営メンバーとの相性も重視される傾向にあります。
アーリーステージ
収益化を目指すステージであり、軌道に乗るかどうかの分岐点にあります。組織化・仕組み作りが進んでいく中、各部門のCxOや部門長クラスのニーズが生まれてきます。IPOを目指す企業では、CFOをはじめIPO経験を持つ管理部門人材を求める傾向にあります。すでに商品・サービスの提供が始まっているため、販路拡大や新規顧客開拓などの経験・スキルを持つマーケティング、セールス人材も必要とされるでしょう。この頃から自社ホームページ、求人サイト、転職エージェントなどを活用した採用活動を始める企業も見られます。
ミドルステージ
事業が軌道に乗ってくると、組織の細分化が進みます。例えば営業部門であれば「大手企業向け」「中小企業向け」「○○業界向け」「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」など、管理部門であれば「人事・労務・採用」「経理・財務」「広報」といったように分かれていき、各部門のマネジャークラス、リーダークラスの拡充が図られます。急成長企業の場合は、メンバークラスの採用も強化される傾向にあります。
レイターステージ
一定の成長を遂げ、収益が安定してくると、第二・第三の収益柱をつくるため新規事業に投資する企業も見られます。新規事業開発やプロジェクトマネジャーなどのニーズが出てきます。ミドルステージで設置された組織の強化・拡大に向け、メンバークラスの採用も活発化。短期間で数十人単位の採用が行われることもあり、若手の育成にも力を入れ始めます。組織整備のため管理部門人材も増強。特にIPOを目指す企業では、上場企業での経験を持つ管理部門スペシャリストを求める傾向が見られます。